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東京地方裁判所 平成2年(行ウ)161号 判決 1993年8月26日

原告

山本清光

右訴訟代理人弁護士

黒岩哲彦

吉村清人

青柳孝夫

被告

西新井税務署長

須藤正和

右指定代理人

渡邉和義

外四名

主文

一  被告が昭和六三年三月九日付けでした原告の昭和五九年分の所得税に対する更正(ただし、平成二年五月三一日付けの国税不服審判所長の裁決により一部取り消された後のもの)のうち総所得金額五四一万一〇二四円及び納付すべき税額六二万四三〇〇円を超える部分並びに過少申告加算税賦課決定を取り消す。

二  被告が昭和六三年三月九日付けでした原告の昭和六〇年分の所得税に対する更正(ただし、平成二年五月三一日付けの国税不服審判所長の裁決により一部取り消された後のもの)のうち総所得金額六三六万六五八八円及び納付すべき税額八七万九二〇〇円を超える部分並びに過少申告加算税賦課決定のうち八〇〇〇円を超える部分を取り消す。

三  被告が昭和六三年三月九日付けでした原告の昭和六一年分の所得税に対する更正のうち総所得金額七〇三万二九八二円及び納付すべき税額一〇五万六七〇〇円を超える部分並びに過少申告加算税賦課決定のうち四万円を超える部分を取り消す。

四  原告のその余の請求を棄却する。

五  訴訟費用は、これを二分し、その一を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。

事実及び理由

第一原告の請求

一被告が昭和六三年三月九日付けでした次の各処分を取り消す。

1  原告の昭和五九年分以降の所得税の青色申告承認取消処分

2  原告の昭和五九年分の所得税に対する更正(ただし、平成二年五月三一日付けの国税不服審判所長の裁決により一部取り消された後のもの)のうち総所得金額二四四万一〇二四円及び納付すべき税額一一万三九〇〇円を超える部分並びに過少申告加算税賦課決定

3  原告の昭和六〇年分の所得税に対する更正(ただし、平成二年五月三一日付けの国税不服審判所長の裁決により一部取り消された後のもの)のうち総所得金額三九八万四九五八円及び納付すべき税額三五万三九〇〇円を超える部分並びに過少申告加算税賦課決定

4  原告の昭和六一年分の所得税に対する更正のうち総所得金額四九八万三〇二二円及び納付すべき税額五五万七一〇〇円を超える部分並びに過少申告加算税賦課決定

二被告が昭和六三年五月三一日付けでした原告の昭和六二年分の所得税に対する更正のうち所得金額二六六万六八七七円及び納付すべき税額一一万五五〇〇円を超える部分並びに過少申告加算税賦課決定を取り消す。

第二事案の概要

一本件課税処分等の経過(この事実については、当事者間に争いがない。)

1  原告は、昭和四一年から青色申告承認を受けていた者である。

2  被告は、昭和六三年三月一日付けで、昭和五九年分以降の所得税について、原告に所得税法(以下「法」という。)一五〇条一項一号の規定に該当する事由があるとして、原告の青色申告承認を取り消す旨の処分(以下「本件承認取消処分」という。)をした。

その後の不服申立ての経過は、次のとおりである。

(一) 昭和六三年四月二八日

被告に対する異議申立て

(二) 同年六月三〇日

異議棄却決定

(三) 同年七月二一日

国税不服審判所長に対する審査請求

(四) 平成二年五月三一日

審査請求棄却裁決

3  原告の昭和五九年分から同六二年分までの各所得税の課税処分及び不服申立ての経過については、別紙一の1から4までに記載のとおりである(以下、各年分の更正処分及び過少申告加算税賦課決定を総称して「本件各更正」及び「本件各決定」という。また、各年分の更正を「昭和五九年分更正」、各年分の決定を「昭和五九年分決定」等という。)。

二本件各更正及び本件各決定の課税根拠

被告は、本件承認取消処分をした上、本件各更正及び各決定をしたが、その課税根拠は次のとおりである。

1  昭和五九年分から昭和六一年分までの総所得金額及びその算出根拠

被告は、原告が家電製品小売業及び電気工事業を営むものであるとし、右各年分の総所得金額について、次のとおり、推計の方法によりその額を算出した。

(一) 昭和五九年分  一〇〇八万二八〇五円

(1) 売上金額  七一三一万六三一七円

ア 家電製品小売分  五六四五万五五〇五円

イ 電気工事分  一四八六万〇八一二円

右各売上金額は、いずれも後記(2)の各売上原価額を、比準同業者の平均売上原価率(売上金額に対する売上原価額の占める割合の平均値であり、右年分については、家電製品小売分0.7697、電気工事分0.3349)で除して算出したものである。

(算式)

売上金額=売上原価額÷平均売上原価率

(2) 売上原価額  四八四三万〇六八八円

ア 家電製品小売分  四三四五万三八〇二円

被告が取引先等の調査によって把握した原告の昭和五九年分の家電製品小売の仕入金額である(その内訳は、別紙二記載のとおり)。

イ 電気工事分  四九七万六八八六円

原告が被告に提出した昭和五九年分所得税青色申告決算書(一般用)(以下、これらの決算書を「昭和五九年分決算書」等という。)に記載された仕入金額から、アの家電製品小売分の金額を差し引いた額である。

(3) 一般経費額  六三二万三〇一一円

ア 家電製品小売分  四一八万八九九八円

イ 電気工事分  二一三万四〇一三円

右の一般経費額は、いずれも(1)の売上金額に、比準同業者の平均一般経費率(売上金額に対する一般経費額の占める割合の平均値であり、右年分については、家電製品小売分0.0742、電気工事分0.1436)を乗じて算出したものである。

(算式)

一般経費額=売上金額×平均一般経費率

(4) その他の必要経費額  六四七万九八一三円

ア 給料賃金  三二四万三五六一円

イ 借入金利子割引料  六一万〇八一五円

ウ 外注費  一万四七七一円

エ 地代家賃  一九九万四〇〇〇円

オ 繰延資産償却費  一六万六六六六円

カ 事業専従者控除  四五万〇〇〇〇円

(アからオまでの金額については、当事者間に争いがない。また、原告は、青色申告であることを前提に、青色申告者にのみ適用される青色事業専従者給与額三三二万円の必要経費への算入(法五七条)及び青色申告控除額一〇万円の控除(租税特別措置法(平成四年法律第一四号による改正前。以下同じ。)二五条の三)を主張しているが、青色申告承認が取り消された場合には、カの四五万円のみが控除されることとなることについては、当事者間に争いがない。)

(5) 事業所得金額  一〇〇八万二八〇五円

(1)の金額から、(2)から(4)までの金額の合計額を差し引いた額((1)―((2)+(3)+(4)))である。

(6) 総所得金額  一〇〇八万二八〇五円

(二) 昭和六〇年分  一五〇三万三五七〇円

右金額を算出するのに用いた推計の方法は、昭和五九年分の方法と同様である。

(1) 売上金額  八五九九万二五八三円

ア 家電製品小売分  六九五七万六三三二円

イ 電気工事分  一六四一万六二五一円

なお、右年分の平均売上原価率は、家電製品小売分0.7709、電気工事分0.3038である。

(2) 売上原価額  五八六二万三六五一円

ア 家電製品小売分  五三六三万六三九四円

被告が取引先等の調査によって把握した原告の昭和六〇年分の家電製品小売の仕入金額である(その内訳は、別紙二記載のとおり)。

イ 電気工事分  四九八万七二五七円

昭和六〇年分決算書に記載された仕入金額から、アの家電製品小売分の金額を差し引いた額である。

(3) 一般経費額  七二九万七九九三円

ア 家電製品小売分  四八三万五五五五円

イ 電気工事分  二四六万二四三八円

なお、右年分の平均一般経費率は、家電製品小売分0.0695、電気工事分0.1500である。

(4) その他の必要経費額  七九三万七三六九円

ア 給料賃金  四三二万一〇二四円

イ 借入金利子割引料  九四万六四五三円

ウ 外注費  二万一六〇〇円

エ 地代家賃  一八七万二〇〇〇円

オ 建物減価償却費  一二万四七八七円

カ 繰延資産償却費  二〇万一五〇五円

キ 事業専従者控除  四五万〇〇〇〇円

(アからエまで及びカの金額については、当事者間に争いがない。また、原告は、昭和五九年分と同様に、青色申告であることを前提に、青色事業専従者給与額二七三万一六三〇円の必要経費への算入及び青色申告控除額一〇万円の控除を主張しているが、青色申告承認が取り消された場合には、キの四五万円のみが控除されることとなることについては、当事者間に争いがない。)

(5) 事業所得金額  一二一三万三五七〇円

(1)の金額から、(2)から(3)までの金額の合計額を差し引いた額((1)―((2)+(3)+(4)))である。

(6) 総合長期譲渡所得金額  二九〇万〇〇〇〇円

(この金額については、当事者間に争いがない。)

(7) 総所得金額  一五〇三万三五七〇円

(5)の金額と(6)の金額との合計額である。

(三) 昭和六一年分  一七〇二万五〇四五円

右金額を算出するのに用いた推計の方法は、昭和五九年分の方法と同様である。

(1) 売上金額  一億〇三一一万一六七四円

ア 家電製品小売分  七一四五万九八四三円

イ 電気工事分  三一六五万一八三一円

なお、右年分の平均売上原価率は、家電製品小売分0.7693、電気工事分0.3611である。

(2) 売上原価額  六六四〇万三五三三円

ア 家電製品小売分  五四九七万四〇五七円

被告が取引先等の調査によって把握した原告の昭和六〇年分の家電製品小売の仕入金額である(その内訳は、別紙二記載のとおり)。

イ 電気工事分  一一四二万九四七六円

昭和六一年分決算書に記載された仕入金額から、アの家電製品小売分の金額を差し引いた額である。

(3) 一般経費額  九六八万二三五三円

ア 家電製品小売分  五一〇万二二三三円

イ 電気工事分  四五八万〇一二〇円

なお、右年分の平均一般経費率は、家電製品小売分0.0714、電気工事分0.1447である。

(4) その他の必要経費額  一〇〇〇万〇七四三円

ア 給料賃金  五三九万五六二五円

イ 借入金利子割引料  一六八万四一一三円

ウ 外注費  五万六九二〇円

エ 地代家賃  一一三万〇〇〇〇円

オ 建物減価償却費  七四万一七三二円

カ 繰延資産償却費  五四万二三五三円

キ 事業専従者控除  四五万〇〇〇〇円

(アからエまで及びカの金額については、当事者間に争いがない。また、原告は、昭和五九年分及び六〇年分と同様に、青色申告であることを前提に、青色事業専従者給与額二三九万九九六〇円の必要経費への算入及び青色申告控除額一〇万円の控除を主張しているが、青色申告承認が取り消された場合にはキの四五万円のみが控除されることとなることについては、当事者間に争いがない。)

(5) 事業所得金額  一七〇二万五〇四五円

(1)の金額から、(2)から(4)までの金額の合計額を差し引いた額((1)―((2)+(3)+(4)))である。

(6) 総所得金額  一七〇二万五〇四五円

2  昭和六二年分の総所得金額及びその算出根拠

昭和六二年分の総所得金額  四四六万四八七七円

本件承認取消処分に伴い、原告の昭和六二年分の確定申告書は、青色申告書以外の申告書となり、青色申告者にのみ適用される青色事業専従者給与額の必要経費への算入(法五七条)及び青色申告控除額の控除(租税特別措置法二五条の三)は適用されない。

右金額は、原告の申告に係る事業所得の金額にこれらの額及び昭和六二年分決算書において経費の集計に誤りがあった額を加算する等して算出したものであり、その内訳は次のとおりである。

(一) 原告の申告額  二六六万六八七七円

(二) 加算額  二三九万八〇〇〇円

(1) 青色事業専従者給与  二二八万〇〇〇〇円

(2) 青色申告控除  一〇万〇〇〇〇円

(3) 昭和六二年分決算書経費集計の誤り  一万八〇〇〇円

(三) 減算額  六〇万〇〇〇〇円

事業専従者控除額  六〇万〇〇〇〇円

(青色承認が取り消された場合の右年分の総所得金額が右金額になることについては、当事者間に争いがない。)

3  本件各決定の根拠

(一) 昭和五九年分決定から同六一年分決定まで

右各年分に係る過少申告加算税の賦課決定処分については、昭和六二年法律第九六号による改正前の国税通則法六五条一項及び二項の規定に基づき、右各年分に係る更正処分により各納付すべき所得税額(裁決による一部取消し後の額、一万円未満の端数切捨て)に一〇〇分の五を乗じた金額と、右各納付すべき所得税額のうち五〇万円を超える金額に一〇〇分の五を乗じた額の合計額の範囲内の金額を課税額としたものである。

(二) 昭和六二年分決定

右年分に係る過少申告加算税の賦課決定処分については、国税通則法六五条一項及び二項の規定に基づき、昭和六二年分の更正処分により納付すべき所得税額(一万円未満の端数切捨て)に一〇〇分の一〇を乗じた金額を課税額としたものである。

第三本件の争点

本件においては、本件承認取消処分並びに本件各更正及び本件各決定の適法性について、次の点が争われている。

一本件承認取消処分の適法性について

1  原告には法一五〇条一項一号に定める青色申告承認取消事由に該当する事実があったか否か。

2  本件調査は適法なものであったか否か。

3  本件承認取消処分の通知書の理由付記は適法なものであったか否か。

4  本件承認取消処分は他事考慮に基づく違法なものか否か。

二本件各更正及び本件各決定の適法性について

1  推計課税の必要性があるか否か。

2  推計課税の合理性があるか否か。

第四争点に関する当事者の主張の要旨<省略>

第五争点に対する判断

一本件承認取消処分の適法性について

1  原告には法一五〇条一項一号に定める青色申告承認の取消事由に該当する事実があったか否かについて

(一) 法一五〇条一項一号は、その年における業務に係る帳簿書類の備付け、記録又は保存が法一四八条一項の規定を受けた大蔵省令の定めるところに従って行われていない場合には、その年までさかのぼって、青色申告の承認を取り消すことができるものと定めている。ところで、青色申告者に対しては、税法上種々の特典が与えられている一方で、青色申告者が帳簿書類を備え付けて取引を記録し、その帳簿書類を保存することが義務づけられているが、これらの義務は、税務署長が法二三四条の規定に基づいて行う調査により帳簿書類の備付け、記録及び保存が正しく行われているか否かを確認できることを当然に予定しているものと考えられる。

このような青色申告制度の趣旨と仕組みからすれば、法一五〇条一項一号の規定の趣旨は、青色承認に伴い各種の特典が付与されるのと裏腹の関係に立って義務づけられている帳簿書類の備付け、記録及び保存が正しく行われていることについて、税務署長がこれを確認できる場合に限り青色承認による特典を与え、これに反する場合には青色承認を取り消し、右の特典を喪失させるものであると解される。このことからすると、右規定に定める取消事由には、帳簿書類の備付け、記録又は保存が行われていない場合のほか、たとえ帳簿書類の備付け、記録及び保存自体が行われているとしても、青色申告者が税務職員の調査に正当な理由なく応じようとせず、帳簿書類の提示を拒否したため、税務署長においてその備付け、記録及び保存が正しく行われているか否かを確認することができない場合をも含むものと解するのが相当である。

この点について、原告は、法一五〇条一項一号には、「備付け」「記録」「保存」が、それぞれ別個独立の概念として規定されており、一個の行為が右のいずれにも評価できるという概括的な解釈が許される余地はあり得ないから、青色申告者が税務職員の調査要求に対して即応しなかった場合等まで、右規定に定める取消事由としていないことは、文理上明らかであると主張する。

確かに、法一五〇条一項一号は、青色申告者が帳簿書類の提示を拒否した場合について、明文をもって規定していないが、右規定の趣旨は前記のとおり解すべきものである上、そもそも青色申告制度は、申告の基礎となった納税者の帳簿書類の正しさに対する課税庁の信頼が存在することを前提として成り立つものであるから、納税者の調査拒否により帳簿書類の不備や不正の存否そのものを確認することができない場合まで、税務署長において青色承認による特典の享受を認めなければならないとすることは、制度の趣旨に反するものであるというべきであり、さらに、青色申告者については帳簿書類の調査に基づく場合に限って更正をすることができ、推計課税が禁止されていることからみても、青色申告者が帳簿書類の調査を拒否したときは、青色承認を取り消すことができることを法は当然に予定しているものというべきであって、原告の主張を採用することはできない。

(二) そこで、本件調査の経過についてみると、証人白田敦、同川向和夫の各証言によれば、次の事実が認められる。これに反する証人山本冨貴子の証言及び原告本人尋問の結果の各部分は、採用することができない。

(1) 昭和六一年九月二九日、白田敦調査官(以下「白田係官」という。)は、原告の昭和五八年分から昭和六〇年分までの所得税の調査のため、錦織係官とともに、原告の肩書地所在の店舗(以下「原告方」という。)に赴き、原告に対し、身分証明書を提示し、右各年分の所得税の調査のために訪問した旨を告げて、調査の協力を依頼した。ところが、原告の妻の山本冨貴子(以下「冨貴子」という。)が、白田係官らに対し、事前連絡もなく不当な調査である等と述べ、調査を後日にするよう求めたことから、白田係官らは、原告及び冨貴子から事業の概要のみを聴取し、翌三〇日中に調査の都合のよい日を電話連絡する旨の原告らからの約束を受けて、原告方を辞去した。

(2) 翌三〇日に原告から連絡がなかったため、昭和六一年一〇月一日、白田係官が原告方に電話したところ、電話に出た冨貴子から「二、三日中に税務署に行くことになった。税務署の責任者に会いたい。税務署の方でも突然来たのだから、納税者の方でもいきなり税務署に行ってもいいではないか。」等の応答があった。

(3) 昭和六一年一〇月三日、原告、冨貴子、民商関係者らが西新井税務署(以下「署」という。)を訪れ、白田係官が同年九月二九日に原告方を訪れた際に、民商や商工新聞を誹謗するような言動をしたのでその発言内容について謝罪を求めるという抗議文(<書証番号略>)を提出するなどの抗議を行った。

右同日夕刻に、白田係官が、調査期日を決めるために原告方に電話したところ、原告は、右抗議の内容について署から民商に対して回答があるまで調査には応じられない旨応答した。

(4) 白田係官は、右の抗議に対し、そのような事実はなかった旨の署からの回答がなされたことを確認した上、昭和六一年一〇月九日、原告方に電話連絡し、冨貴子を通じて原告の都合を確認し、同月二八日午後一時に調査を行うこととした。

右日時に、白田係官と宗上席調査官が原告方に赴くと、原告と冨貴子のほかに、民商関係者五人、金融機関の職員二人がいた。白田係官らは、身分証明書を提示し、所得税調査に来たという訪問の趣旨を告げ、原告に対し、第三者の退席を求めたが、原告はこの要請を拒絶した。また、白田係官らは、原告らがビデオカメラで白田係官らを撮影していたため、原告に対し、撮影の中止を求めたが、原告はこの要請も拒絶した。さらに、民商関係者が、同年九月二九日の調査時のやりとりについて、誤りを訂正せよ、謝罪せよなどの発言や要求を大声で繰り返したため、白田係官らは調査に入ることができなかった。

白田係官らは、このような状況の下では調査を行うことは不可能であると判断し、原告らに対し帰署する旨告げると、冨貴子から「銀行の人まで来てもらっているのに帰ってしまうのか。」との発言があったが、白田係官らは、調査を行うことなく、原告方を辞去した。

(5) 昭和六一年一一月五日、白田係官は、事前連絡をすることなく原告方を訪れたところ、原告が不在であったため、冨貴子と面談を始めた。冨貴子は、面談を開始するとすぐにテープレコーダーを作動させ、面談の様子を録音し始めたので、白田係官は、録音をやめるように要請したが、冨貴子はこれを聞き入れず、民商事務局に電話連絡をし、民商関係者の来訪を求めた。

白田係官は、冨貴子が録音をやめず、民商関係者がやって来ることが予想されたことから、前回の調査時と同様な状況になってしまい、調査を行うことができないと判断し、冨貴子に対し、その旨と今後署独自の調査を行う旨とを告げて、原告方を辞去した。

その後、原告と担当係官との間で調査について連絡をとる中で、原告から帳簿を署に持参するという申し出があったが、原告が来署しなかったため、改めて被告は原告に対し、独自の調査を進める旨伝えた。

(6) 昭和六二年七月二一日、白田係官の後任者である川向和夫上席調査官(以下「川向係官」という。)は、原告方に赴いたところ、原告が不在であったため、冨貴子と面談した。川向係官は、冨貴子に対し、調査担当者が変わったことを告げ、引き続き調査を行うので協力されたい旨の要請したところ、冨貴子は、民商関係者の立会いを認めれば調査に応じると答えた。川向係官は、冨貴子に対し、八月末か九月初めに再度調査に訪れるので、帳簿書類等を用意しておくように告げて辞去した。

(7) 昭和六二年九月二日、川向係官が原告方に赴いたところ、冨貴子が応対し、調査担当者を変わったことについて被告から説明のない限り調査には応じられないと原告が言っている、調査担当者が一日店の手伝いに来れば内容はよく分かるなどと述べるのみで、調査に応じようとしないため、川向係官は、再度訪問する旨を告げて辞去した。

(8) 昭和六二年九月一七日、川向係官が原告方に赴き、原告に対して、調査に協力し、帳簿書類を見せるよう要請した。しかし、原告は、反面調査の結果を明らかにしない限り帳簿書類を見せることはできないなどと述べ、帳簿書類の提示を拒否した。そこで、川向係官は、原告に対し、帳簿が確認できない状態がこのまま続くと、青色承認の取消しという事態にもなりかねないことを説明して説得に努めたが、原告は、その説得に応じようとしなかった。

(9) その後、原告は、被告に対し、担当者を変更した理由と反面調査の結果の説明を求める要望書を送付するなどしてきたが、昭和六二年一〇月七日、川向係官が原告方に赴き、原告と冨貴子に対し、調査に協力するように要請した。しかし、原告らは、被告が要望書に対して回答をしない以上帳簿書類の提示はできないなどと述べて、調査への協力を拒否した。また、原告らは、民商事務局に電話連絡をし、川向係官にその電話に応答するように要求し、さらに、右応答を断り調査を諦めて辞去しようとした川向係官に対し、税務署員は暇だから民商関係者が来るまで待つように述べ、川向係官を引き止めた。

原告方に到着した民商関係者は、川向係官に対し、要望書に対する回答があれば原告は調査に応ずるなどと述べ、右回答を要求した。また、冨貴子は、「税務署は勝手に言いたい放題のことを言って後で知らないと述べる。」と言うなど、税務署ないし税務職員を非難する言動を繰り返した。川向係官は、このような状況の下では調査は到底不可能であると判断して、原告方を辞去した。

(10) 昭和六三年二月一八日、川向係官が原告方に赴き、原告に対し、調査の協力を要請したが、原告が川向係官を無視する態度をとり続けたため、川向係官は、調査結果を文書で通知する旨告げて、原告方を辞去した。

(三)  右の認定事実によれば、原告は、被告担当職員による税務調査に対して反発する態度をとり続け、何回も原告方へ調査に訪れた被告担当職員に対し、民商関係者の立会い、調査時のやりとりに関しての謝罪を要求するなどして、被告担当職員による調査の着手を拒み、再三にわたる被告担当職員の説明、説得等にも応じることなく、帳簿書類を提示しなかったため、被告担当職員は、原告の帳簿書類の備付け、記録及び保存が正しく行われているかどうかを確認できなかったものということができる。

そうすると、原告には、法一五〇条一項一号に定める取消事由に該当する事実があったものというべきである。

(四) 原告は、「帳簿書類の提示を拒否することが、法一五〇条一項一号に定める取消事由に該当すると解するとしても、取消事由の認定は慎重になされるべきであり、納税義務者による帳簿書類の提示の拒否は、税務当局が調査の全過程を通じてその備付け状況等を確認するため社会通念上当然に要求される程度の努力を行ったにもかかわらず、その確認を行うことが客観的にみてできなかったと考えられる場合に限られる。ところが、原告が、署係官の調査に応じ、帳簿書類を提示するために、帳簿書類をすべて準備していたにもかかわらず、被告担当職員は、帳簿書類を見ようともせずに辞去したもので、右にいう努力を行っていないものであるから、原告が帳簿書類の提示を拒否したということはできない。」と主張する。

しかし、前記認定のとおり、被告担当職員は、昭和六一年九月二九日から昭和六三年二月一八日にかけて、合計八回も原告方を訪問するなど、原告及び冨貴子に対し、繰り返し調査への協力を要請しており、被告担当職員は、原告の理解と協力を得て調査を実施するために努力を重ねたが、原告及び冨貴子は、被告担当職員の調査時の会話を取り上げて謝罪を要求をし、調査時の状況を録画や録音しようとし、税務署ないし税務職員を誹謗するような言動をするなどして、帳簿書類の提示を拒否したものである。このように、被告担当職員は、原告の協力を求めて努力を尽くしており、原告から帳簿書類の提示を受けてその備付け等の確認をすることができなかったのは、むしろ、原告らが非協力的な行動に終始して、被告担当職員に対する帳簿書類の提示を拒否したことによるものというべきであるから、原告の主張は失当である。

2  本件調査は適法なものであったか否かについて

本件調査は、法二三四条に基づいて行われたものであるが、右調査における質問検査の範囲、程度、時期、場所等法律上特段の定めのない実施の細目については、質問検査の必要があり、かつ、これと相手方の私的利益との較量において社会通念上相当な限度にとどまる限り、権限ある税務職員の合理的な選択にゆだねられているものと解されるところである。

前記認定のとおり、本件調査においては、調査理由については、昭和六一年九月二九日に被告担当職員が原告方に赴いた際、原告に対し、原告の昭和五八年分から昭和六〇年分までの所得税の調査のために訪問した旨を告げており、また、前掲各証言によれば、事前通知については、昭和六一年一〇月二八日、事前の約束により被告担当職員が原告方に赴いた際に、原告方には多数の民商関係者等がおり、調査の実施ができなかったことから、被告担当職員は、事前連絡すると民商関係者の第三者が調査に立ち会い、調査が妨げられることになると判断して、その後原告方に赴く際には、事前連絡をしなかったことが認められる。

原告は、本件調査は、事前通知や調査理由の告知が行われず、質問検査権の適法要件を欠く違法があると主張するが、右のとおり、被告担当職員らの対応は、その合理的な判断に基づく社会通念上相当なものと認められるから、本件調査は適法なものであったというべきである。

3  本件取消処分の通知書の理由付記は適法なものであったか否かについて

法一五〇条二項によれば、税務署長は、青色申告の承認の取消処分をする場合には、書面による通知をすることを要し、その書面に、取消処分の基因となった事実が法一五〇条一項各号のいずれに該当するかを付記すべきこととされている。

ところで、本件通知書には、「あなたの青色申告については、所得税法一五〇条一項一号に定める取消事由に該当する事実があったと認められますので、その事実があったと認められる昭和五九年分以降の青色申告の承認を取り消します。」と記載され、取消しの基因となった事実として、「あなたの昭和五九年分ないし昭和六一年分の所得税の調査に関し必要があったので、昭和六一年九月二九日、同年一〇月二八日ほか昭和六三年二月一八日に至るまで八回にわたり、当税務署の白田国税調査官、川向上席国税調査官があなたの店舗において、あなたに事業に関する帳簿書類の提示を求めたところ、「事前連絡もなく不当だ。」「多忙である。」と終始申し述べ、その提示がありませんでした。さらに、あなたに対し「帳簿の提示がない場合には青色申告承認の取消しもあり得る。」旨を告げ、帳簿の提示を求めたにもかかわらず、結局これの提示がありませんでした。このことは、青色申告に係る帳簿書類の備付け、記録又は保存が所得税法一四八条に定めるところに従って行われていないことになります。したがって、所得税法一五〇条一項一号に該当しますので、青色申告の承認を取り消します。」と記載されていた。(この事実については、当事者間に争いがない。)

右の記載は、本件取消処分の基因となった事実として、本件調査において原告が被告担当職員に対し帳簿書類を提示しなかった事実を、具体的に特定して摘示した上、法一五〇条一項一号の規定により青色申告の承認を取り消すことを明示しており、法一五〇条二項に基づく通知書の記載として何ら欠けるところはないものというべきである。

原告は、右記載のみでは、法一五〇条一項一号に定める「備付け」、「記録」又は「保存」のいずれの義務違反に該当するか不明であり、付記理由の特定性を欠く違法があると主張するが、法一五〇条二項の規定は、取消処分の基因となった事実が、法一五〇条一項各号のいずれに該当するかを記載すべき旨を定めるにとどまり、それ以上に各号に定めるいずれの義務違反に当たるかまでを記載すべきことを要求していないものと解されるから、右主張は理由がない。

4  本件承認取消処分は他事考慮に基づく違法なものか否かについて

原告は、本件承認取消処分は、被告が民商の組織破壊を目的として行ったものであり、他事考慮による違法なものであると主張する。

しかし、前記のとおり、本件承認取消処分は、原告が本件調査において帳簿書類の提示を拒否したため、被告がその備付け等を確認できなかったことが、法一五〇条一項一号に定める事由に該当することを処分根拠とするものであって、原告の主張する事実を認めるに足りる証拠はない。

5  小括

右のとおり、本件承認取消処分は、法一五〇条一項一号に基づき適法になされたものであるというべきである。

二本件各処分及び本件各決定の適法性について

1  推計の必要性があるか否かについて

前記認定事実によれば、昭和六一年九月二九日から昭和六三年二月一八日までの間に八回にわたって、被告担当職員によって行われた本件調査において、原告は、被告担当職員の帳簿書類の提示の要請に応じず、民商関係者を調査時に呼び、その立会いを認めないと調査に応じられないなどと主張し、ビデオカメラによる撮影やテープレコーダーによる録音を行い、被告担当職員によるその中止の要請にも応じないなど、終始非協力的な態度をとり続けており、原告のこれらの言動によれば、被告が原告の所得金額を把握することが不可能と判断される状況にあったものと認められる。

そうすると、被告が独自の調査を行い、その結果に基づき推計の方法によって原告の所得金額を算出する必要性があったことは明らかであるというべきである。

2 推計の合理性があるか否かについて

(一)  被告が採用した原告の事業所得金額を算出する推計の方法は、前記のとおりのものであるが、要約すると、①原告の業務形態を家電製品小売と電気工事とを兼業するものであるとした上、②家電製品小売の仕入金額については、独自の調査によって把握した金額とし、電気工事の仕入金額については、原告の青色申告決算書に記載された仕入金額から右の家電製品小売の仕入金額を控除した額とし、③右各仕入金額に、それぞれ家電製品小売業者と電気工事業者の各平均売上原価率を用いて各売上金額を算出し、④右③によって算出された家電製品小売と電気工事との各売上金額に、それぞれ家電製品小売業者と電気工事業者の各一般経費率を用いて各一般経費を算出し、⑤右仕入金額及び一般経費のほか、実額で計算可能な給与賃金額、借入金利子割引料額、外注費額、地代家賃額、建物減価償却費額、繰延資産償却費額及び事業専従者控除額を売上金額から控除し、事業所得額を算出するというものである。

(二)  原告は、右の推計の方法について、原告の営業の実態は家電製品小売業であるから、営業の実態を正確に把握したものではなく、被告の推計の方法は合理性を欠くと主張する。

しかし、原告が電気工事を業務の一部として行っていること自体については、その範囲や程度の点をひとまずおけば、原告もこれを自認しているところであり、また、被告の主張する右の推計方法によれば、原告の営業を家電製品小売と電気工事とに分けて把握し、その把握したところに従って、事業所得金額を算出するというものであるから、右推計方法は、その仕入金額、平均売上減価率等が適正なものであるならば、次に述べるような問題点に留意する必要はあるものの、原告の事業所得額を適正に算出し得るものということができ、被告の推計の方法自体が直ちに合理性を欠くとまではいえないものというべきである。

(三)  ところで、被告の右推計の方法によれば、電気工事の仕入金額については、原告の青色申告決算書に記載された仕入金額から、被告が独自の調査によって把握した家電製品小売の仕入金額を控除した額とされることから、被告の家電製品小売の仕入金額の調査に捕捉漏れがある場合には、これと同額の金額が電気工事の仕入金額とみなされることになるものである。また、電気工事の平均売上原価率は、右の方式によって算定された電気工事の仕入金額を基準として、前記のいわゆる倍半基準によって抽出した電気工事業者の売上原価率を基礎に算出したものであることからすると、家電製品小売の仕入金額に多額の捕捉漏れが明らかになり、これに伴い電気工事の仕入金額に多額の変動を生ずると、前記の倍半基準を基礎に算出した平均売上原価率(平均一般経費率についても同様)を用いる合理性を失う可能性をもつものといわざるを得ない。

そして、被告の推計の方法は、電気工事の平均売上原価率が、家電製品の平均売上原価率よりも数値が小さい場合には、家電製品小売の仕入金額に捕捉漏れがあったときは、その額が電気工事の仕入金額とみなされる結果、売上金額、さらには事業所得金額が多額に算出される結果となる構造となっている。ちなみに、昭和五九年分を例にとると、家電製品小売の平均売上原価率が0.7697、電気工事の平均売上原価率が0.3349であるから、家電製品小売の仕入金額に一〇〇万円の捕捉漏れがあると仮定すると、算出された売上金額から仕入金額を控除した金額(粗事業所得)は、差額にして一六八万六七五八円、比率にして6.6倍の変動を生ずることとなる。

(算式)

電気工事に係る粗事業所得

100万円÷0.3349―100万円=198万5965円

家電製品小売に係る粗事業所得

100万円÷0.7697―100万円=29万9207円

ところで、通常、比率法により、被告独自の調査で把握した仕入金額を基礎に売上金額等を推計する場合には、仮に右調査において捕捉漏れがあるときは、売上金額、さらには所得金額の減少を生じるという、いわば控え目な推計額となる。ところが、被告が採用した右のような推計方法の構造からすると、家電製品小売の仕入金額は、単に家電製品小売の売上金額を算出する基礎数値であるにとどまらず、電気工事の仕入金額、売上金額等の算出の基礎となることから、家電製品小売の仕入金額について捕捉漏れがあると、電気工事の売上金額、さらには全体としての事業所得金額が、飛躍的に増加して算出されることになるという特殊性を有するものである。

このように、推計の基礎とする家電製品小売の仕入金額の捕捉漏れがあると、その結果として原告に不利な所得金額が得られることになるという被告の推計の方法の構造からすると、家電製品小売の仕入金額の捕捉の程度は、通常の比率方式の場合におけるよりも正確であることを要求されるものと解すべきである。すなわち、家電製品小売の仕入金額に多額の捕捉漏れが明らかになった結果、売上金額、さらには事業所得金額が大幅に変動することを推測させる事情が判明し、あるいは、これに伴い電気工事の仕入金額に変動が生じた結果、その仕入金額を基礎として算出した電気工事の平均売上原価率を用いる合理性を欠くに至った場合には、右推計の方法は全体としてその合理性を欠くことになり、右の方法によって得られた事業所得金額の算出結果を採用し得なくなるものというべきである。

(四) ところで、原告は、被告の仕入金額の把握は、家電製品小売の仕入金額を電気工事の仕入金額に振り分けるなど極めて不正確であり、被告の推計方法には合理性がない旨主張している。

これに対し、被告は、推計の合理性の争い方について、「納税者が課税庁の推計による所得金額を争い、真実の所得金額が推計額と異なることを主張する場合には、取引については全く第三者的立場にいるにすぎない課税庁よりも、納税者の方が近い立場におり、資料の収集・提出が容易であること等を考慮すると、原告が推計方法の違法性を主張するためには、単に家電製品小売分と電気工事分との仕入金額の配分を主張するのみならず、それぞれの仕入金額と収入金額との間の個別的、限定的な対応関係(当該物品がいかなる工事のために使用されたか、いつの小売に供されたか等)をも主張・立証する必要があり、右立証の程度としては、合理的な疑いをいれない程度の証明を要する。」と主張する。

そこで、検討するに、推計の方法が合理的であるとされるためには、①推計の基礎事実が正確に把握されていること、②種々の推計の方法のうち当該事案に最適なものが選択されるべきこと、③具体的な推計の方法自体、できるだけ真実の所得に近似した数値が算出され得るような客観的なものであることが必要であるところ、これらの点については、被告において主張・立証することが必要であるというべきであり、被告の推計の方法が一般的蓋然性をもって原告の所得を認定し得るものであることが証明されれば、推計課税は適法であるとされるものと考えられる。そして、本件における右①にいう推計の基礎事実は、家電製品小売の仕入金額であるところ、原告の前記主張は、要するに、被告の右仕入金額の把握が不正確であるというものであって、被告の主張すべき右①に係る事実を否認した上、これに対し積極的に反論し、被告の推計の方法が一般的蓋然性をもって原告の所得を認定し得るものとはいえないとする趣旨の主張であると解することができる。被告は、原告の前記主張をいわゆる実額反証の主張であるとして、仕入金額と売上金額との個別的な対応関係を含めて、原告において主張・立証する必要があると主張するが、原告の主張は右のとおりに解すべきものであるから、推計の基礎事実の主張立証責任の所在に関する被告の右主張を採用することはできない。

(五) そこで、推計の基礎事実である家電製品小売の仕入金額について検討する。

1  被告は、原告の取引先等の調査によって得られたとする別紙二記載の金額を、昭和五九年分から昭和六一年分までの原告の家庭電気製品小売に係る仕入れ金額として主張している。

そして、北東京日立家電株式会社分については、昭和五九年分(五八万五二六〇円)は当事者間に争いがなく、<書証番号略>(東京日立家電株式会社北東京支店作成の被告に対する申述書)によれば、被告主張のとおり、昭和六〇年分は六八万四八〇〇円、昭和六一年分は一三一万七六九九円であることが認められる。

ところで、シャープエレクトロニクス販売株式会社(以下「シャープ販売」という。)の分については、被告は、昭和六一年分に係る証拠として<書証番号略>(シャープ販売作成の請求書)を提出しており、また、原告から、昭和五九年分ないし昭和六一年分の仕入れ金額に関する被告の調査結果に係る証拠として<書証番号略>(シャープ販売渡部大城東支店長作成の被告に対する照会回答書)が提出されている。しかし、これらの書証に記載されているものは、右係争年分におけるシャープ販売が原告に納入した商品等の金額を集計したものであり、被告は右の金額を原告の右係争年分におけるシャープ販売関係の仕入金額を算出する基礎としたことが窺われるものの、右の書証に記載された仕入金額、割戻値引の金額等の数字を基礎にして、いかなる計算過程を経て前記金額を算出したものか必ずしも明らかではない。すなわち、昭和五九年分を例にとると、<書証番号略>によれば、昭和五八年一二月一六日から昭和五九年一二月一五日までの間の仕入れ合計金額が四四二一万一七六七円、割戻値引合計金額が三七六万一一五四円等との記載があるが、締め日、値引き、パーツ等についていかなる計算上の取扱いをしたのか、その他の資料をも用いて計算したのかなどが明らかでなく、結局のところ被告が主張する四二八六万八五四二円という金額の算出根拠が不明であるといわざるを得ない。また、昭和六〇年分及び昭和六一年分についても、同様に算出根拠が不明である。

そうだとすると、被告の推計の方法をとる場合には、家電製品小売の仕入金額が電気工事の仕入金額、売上金額等を算出するための基礎数値になり、家電製品小売の仕入分の捕捉漏れが原告に不利に作用すること等を考慮すると、前記の各証拠の記載からは、右係争年分の仕入金額として、それぞれ前年一二月一六日から当年一二月一五日までの仕入分に相当する金額、すなわち、昭和五九年分は四四二一万一七六七円、昭和六〇年分は五七三三万八九一〇円、昭和六一年分は五七三九万五〇〇五円という金額にほぼ相当する額の仕入れがなされた事実を推認することができるにとどまるものといわざるを得ない。

2  また、原告は、被告の仕入金額の把握は極めて不正確であり、多くの捕捉漏れがあるから、被告の主張する仕入金額を推計の基礎とすることはできないとし、係争年分に係る当座預金帳・普通預金帳(<書証番号略>)、金銭出納帳(<書証番号略>)等に基づき、別紙三のとおりの仕入金額があると主張している。

原告の右主張は、前記のとおり、被告の主張する仕入金額の相当性を争うものであり、前記証拠は反証として提出されたものであるところ、右<書証番号略>は、原告が日々記帳した出納関係の帳簿であり、原告は、これらの帳簿の記載を裏付ける伝票式元帳、入出金伝票、領収書等を右帳簿等と対応させた形で証拠として提出していないが、右帳簿の体裁、記載等からすると原告又は冨貴子が継続して金銭出納関係の事実を記載したものと認められるので、捕捉漏れの事実があることを推認させ、被告の仕入れ金額の相当性を争うための証拠として、これを採用し得るものというべきである。

そして、証人山本冨貴子の証言、原告本人尋問の結果及び適宜かっこ内に掲記する書証によれば、右係争年分の仕入金額について、次の事実を一応認めることができる。

(一) 昭和五九年分について

(1) シャープシステムサービス株式会社(以下「シャープシステム」という。)からの仕入金額六七〇円(<書証番号略>・請求書)

(2) クラリオンオーディオ販売株式会社(以下「クラリオン」という。)からの仕入金額合計三〇万八三三九円(<書証番号略>)

(3) 原告は、昭和五九年分において、ナショナルほかの仕入先から、四六万二二八八円の家電製品小売の現金仕入れがあったと主張し(その内訳の詳細については、<書証番号略>のとおりとする。なお、昭和六〇年分及び昭和六一年分の現金仕入分についても同様に主張している。)、<書証番号略>(金銭出納帳)には、右金額にほぼ対応した金銭の支出をしている旨の記載が認められる。

しかし、このうち、秋葉原外分(三一〇〇円)及びシャープ分(八六〇〇円)については、これに対応した支出の記載が認められず、樋口金物分(一万九二五〇円)については、仕入商品がペンキ、バケツ等であり、斉藤商店・ダイマル分(一万六七二五円)については、仕入商品が砂糖等であり、稲垣分(七三八円)、藤野木材分(一万七一〇〇円)及び板橋鉄工(板橋定治)分(二万六二五〇円)については、材料代であり、シャープファイナンス分(一二万一六〇〇円)については、預かり金割戻し等であり、いずれも電気製品小売の仕入分と認めることはできない。(以上の合計二一万三三六三円)

右以外の支出分については、家電製品小売の仕入金額と認められ、昭和五九年分に係る現金仕入れとして二四万八九二五円の支出があったものと認めることができる。

(4) 原告は、シャープ斡旋品として、一一万五七五〇円の家電製品小売の仕入れがあったと主張し、証人冨貴子の証言の中には右主張にそう部分もあるが、右仕入れを裏付ける帳簿諸票が証拠として提出されていないから、これを認めることはできない。

(5) 原告は、原告が電気製品のほかに、明太子分(一七万二二〇〇円)、うどん・塩こんぶ等分(一三万四二〇〇円)の小売仕入れをしていたと主張する。

<書証番号略>(金銭出納帳)によれば、明太子購入代金の支払をした旨の記載(合計一六万九〇〇〇円)が認められ、証人冨貴子は、得意先等からこれらの明太子が美味であるとの評判を得たため、商品として仕入れて販売したものであると証言する。しかし、<書証番号略>に記載されたその購入価格、購入時期等からすると、原告が得意先等への贈答用、あるいは、得意先等から依頼を受け、代金を立替えて購入を取り次いだものと認めるのがむしろ自然である。また、昭和六〇年分においては三九万円、昭和六一年分においては六六万四〇〇〇円の明太子の仕入れをしたと原告は主張するが、金銭出納帳(<書証番号略>)には、それぞれ一〇万円未満の明太子購入代金の支払の記載があるにとどまる上、<書証番号略>(田原屋作成の納品書添付のメモ)には、昭和五九年から昭和六一年にかけて、田原屋鮮魚部が原告主張額に一致する額の明太子を原告に納品した旨の記載があるものの、その記載の体裁等からすると、右商店の帳簿等に照合することなく、原告の依頼のままに作成された書面であることが明らかであるといわざるを得ないし、他に原告の主張事実を認めるに足りる証拠はない。

また、うどん・塩こんぶ等分については、金銭出納帳(<書証番号略>)にその記載を認めることができない上、<書証番号略>(清水末子作成の納品書添付の手紙)には、昭和五九年から昭和六一年にかけて、清水末子が、原告主張額に一致する額の右商品を原告に納品した旨の記載があるが、その記載の体裁等からすると、これらの書面も、右商店の帳簿等を照合することなく、原告の依頼のままに作成された書面であることが明らかであるといわざるを得ないし、他に原告の主張事実を認めるに足りる証拠はない。

(6) 原告は、関和電材関係の家電製品仕入金額が一五三万八二四〇円であると主張し、これに対し、被告は、原告が家電製品小売の仕入金額であると主張する中には電気工事分に係るものが多数含まれており、また、原告の家電製品小売分と電気工事仕入分との振り分けが恣意的であると主張する。

<書証番号略>(関和電材仕入帳)によれば、関和電材から原告主張額に相当する仕入れがなされていることが認められ、このうち、インターホン、電球、テレビ用アンテナ、テーブルタップ、テーブルスタンド、シャンデリア、調光器等の家電製品小売に係る仕入れがあることは、明らかである。また、ビニールテープ、パイプ等の商品については、確かに被告の指摘するように電気工事材料として使用されることのある性質の商品ではあるが、原告本人尋問の結果によれば、原告は、これらの商品を工事材料として使用する場合と小売商品として販売することがあることが認められ、右のような商品についても、原告の主張するとおり、換気扇、テレビのアンテナ等の商品の販売に伴う取付工事に使用する場合における部品等としての家電製品電気小売の仕入分であると認めることができる。

(二) 昭和六〇年分

(1) シャープシステムからの仕入金額三万五八三五円(<書証番号略>・シャープシステム作成の請求書)

(2) クラリオンからの仕入金額合計三六万三一八五円(<書証番号略>)

(3) 日立マクセルからの仕入金額(小切手決済分)二万六三一六円(<書証番号略>)

(4) 原告は、昭和六〇年分において、ナショナルほかの仕入先から、合計五四万一一四二円の家電製品の仕入れがあったと主張し、<書証番号略>(金銭出納帳)には、右金額にほぼ対応した金銭の支出をしている旨の記載が認められる。

しかし、このうち、ソニー分のうちの六九〇〇円分(原告が九月分として主張する額の一部)及びシャープファイナンス分(一九万〇八〇〇円)については、対応する支出の記載がなく、ナショナル分のうち五九〇〇円(同じく五月分及び八月分)及び稲垣(七四〇円)については、支出の費目が不明である。また、池田清商店分のうち一万四〇二五円分(同じく一〇月分及び一一月分)については、材料代であり、ミッキー分(七五四〇円)については、材料代等であり、染谷分(一万三八〇〇円)については、ふとんの購入代であり、山口燃料分(二一五〇円)については、石油の購入代であり、ホームバリュ分(一万三四七〇円)については、ブロック等の材料代であり、佐藤工具分(一四七五円)については、ホース、ナット等の材料代であり、斉藤商店分(一万〇四〇〇円)については、砂糖の購入代であり、前田木材等分(七三五〇円)については、柱等の材料代であると記載されている。そうすると、右の分については、いずれも電気製品小売の仕入分とは認めることができない。(以上の合計二七万四五五〇円)

右以外の支出分については、一応家電製品小売に係る仕入金額と認められ、昭和六〇年分に係る現金仕入れとして二六万六五九二円の支出があったものと認められる。

(5) 原告は、関和電材関係の家電製品小売の仕入金額が、二七一万二八五〇円であると主張する。

前記(一)(6)のとおり、関和電材からの仕入れの家電製品小売分と電気工事分との振分けについては、原告の主張を一応肯認できるところ、原告本人尋問の結果、<書証番号略>(関和電材仕入れ帳)、<書証番号略>(関和電材作成の請求書)によれば、右主張額の仕入れがあったものと認めることができる。

(6) 原告主張のシャープ斡旋品、明太子及びうどん・塩昆布等の仕入金額を認めることができないことは、前記(一)(4)(5)のとおりである。

(三) 昭和六一年分について

(1) シャープシステムからの仕入金額二六万一四九〇円(<書証番号略>・請求書)

(2) シャープビジネス株式会社からの仕入金額二〇五万七七四八円(<書証番号略>・請求書)

(3) クラリオンからの仕入金額合計二五万四九二〇円(<書証番号略>)

(4) 富士パーツからの仕入金額(小切手決済分)四万九五八七円(<書証番号略>)

(5) 原告は、昭和六一年分において、ナショナルほかの仕入先から、合計八八万四〇〇二円の家電製品の仕入れがあったと主張し(その主張の詳細は、<書証番号略>の記載のとおり)、<書証番号略>(金銭出納帳)には、右金額にほぼ対応した金銭の支出をしている旨の記載が認められる。

しかし、このうち、シャープ分二七万五〇〇〇円、秋葉原外分四六〇円及びシャープファイナンス分のうちの六五〇〇円(七月分及び八月分)については、これに対応した支出の記載が認められず、ビバホーム分一七九〇円、豊田その他分九四〇円及びミッキー分のうち五六〇五円については、支出費目が不明であり、シャープファイナンス分のうち三万円分(一二月分・田平名借分という記載のあるもの)及びコスモ石油分五万五〇〇〇円(ウーロン茶との記載のあるもの)並びに池田清商店分五万四三二〇円、ホームバリュ分八九五〇円、篠田分三四〇〇円及び稲垣分七三〇円(いずれも材料代等の記載のあるもの)については、家電製品仕入代とは認められない。(以上の合計四四万二六九五円)

右以外の支出分については、一応家電製品小売に係る仕入金額と認められ、昭和六一年分に係る現金仕入れとして四九万六三〇七円の支出があったものと認められる。

(6) 原告は、関和電材関係の家電製品小売の仕入金額が、一八七万三二八八円であると主張する。

前記(一)(6)のとおり、関和電材からの仕入れの家電製品小売分と電気工事分との振り分けについては、原告の主張を一応肯認できるところ、原告本人尋問の結果、<書証番号略>(関和電材作成の請求書)によれば、右主張額の仕入れがあったものと認めることができる。

(7) 原告主張のシャープ斡旋品、明太子及びうどん・塩昆布等の仕入金額を認めることができないことは、前記(一)(4)(5)のとおりである。

3 そうすると、被告は、原告の右係争年分の家電製品小売の仕入金額として前記の額を主張するが、右主張額の算出根拠が明らかでないから、被告の推計の方法による場合には推計の基礎となるべき家電製品小売の仕入金額の正確性が特に要求されることからすれば、被告の推計の方法は、このことのみをもって合理性を欠くものといわざるを得ない上、前記認定のとおり、多額の捕捉漏れがあるものと認められることからすると、推計の基礎事実である家電製品小売の仕入金額の正確性を欠くというべきであり、被告の推計の方法の合理性を肯定することはできないものといわざるを得ない。

すなわち、昭和五九年分については、少なくとも、前記2(一)のとおり、二〇九万六一九四円の家電製品小売の仕入金額があると認められるほか、シャープ販売分についても、一三四万五二三四円(証拠上昭和五九年分のシャープ販売からの仕入金額と推認される金額四四二一万一七六七円と被告主張額四二八六万八五四二円との差額)に相当する程度の仕入金額があるものと推認されることからすると、右合計三三四万一四二八円の家電製品小売分の増加があることとなり、これに対応して、被告主張の推計の方法による電気工事分の金額(四九七万六八八六円)が大幅に変動することになることからすると、右年分の推計の方法について、推計の基礎事実の正確性を認めることができないものといわざるを得ない。

昭和六〇年分については、少なくとも、前記(二)のとおり、三四〇万四七七八円の家電製品小売の仕入れがあると認められるほか、シャープ販売分についても、四三八万七三一六円(証拠上昭和六〇年分のシャープ販売からの仕入れ金額と推認される金額五七三三万八九一〇円と被告主張額五二九五万一五九四円との差額)に相当する程度の仕入金額があるものと推認されることからすると(ただし、原告の主張額は、五二九九万六〇四一円)、右合計七七九万二〇九四円(原告の右主張額を上限とすると、三四〇万四七七八円)の家電製品小売分の増加があることとなり、これに対応して、被告主張の推計の方法による電気工事分の金額(四九八万七二五七円)が大幅に変動することになることからすると、右年分の推計の方法について、推計の基礎事実の正確性を認めることはできないものといわざるを得ない。

昭和六一年分については、少なくとも、前記(三)のとおり、四九九万三三四〇円の家電製品小売の仕入金額があると認められるほか、シャープ販売分についても、四三八万七三一六円(証拠上昭和六一年分のシャープ販売からの仕入れ金額と推認される金額五七三九万五〇〇五円と被告主張額五三六五万六三五八円との差額)に相当する程度の仕入金額があるものと推認されることからすると(ただし、原告の主張額は、五五〇五万七七八六円)、右合計九三八万〇六五六円(原告の右主張額を上限とすると、六三九万四七六八円)の家電製品小売分の増加があることとなり、これに対応して、被告主張の推計の方法による電気工事分の金額(一一四二万九四七六円)が大幅に変動することになることからすると、右年分の推計の方法については、推計の基礎事実の正確性を認めることはできないものといわざるを得ない。

さらに、前記のとおり、電気工事の仕入金額に多額の変動があると、比準同業者の抽出方法の相当性についても疑問が生ずることになるといわざるを得ず、電気工事分について、被告主張にかかる平均売上原価率等を用いることは相当ではないものというべきである。

4  そうすると、昭和五九年分ないし昭和六一年分に係る原告の所得金額を算出するために被告が用いた推計の方法の合理性を認めることはできないものといわざるを得ない。

5  小括

右のとおり、昭和五九年分から昭和六一年分までの各更正及び各決定のうち、右推計方法を用いて算出した部分は、いずれもその課税根拠を欠く違法なものといわざるを得ず、この場合に昭和五九年分から昭和六一年分までの各総所得金額、納付すべき税額及び過少申告加算税額を算出すると、別紙四のとおりとなる。

また、昭和六二年分の更正及び決定は、本件承認取消処分が適法であることが前記のとおりであり、この場合に右年分に係る総所得金額が被告主張の額となることについては、当事者間に争いがないから、右年分の更正及び決定は適法なものというべきである。

三結論

そうすると、原告の本件請求は、(一)本件承認取消処分の取消しを求める点については、理由がないから棄却し、(二)昭和五九年分から昭和六一年分までの各更正及び各決定の取消しを求める点については、一部理由があるからいずれも主文の限度で認容し、(三)昭和六二年分の更正及び決定の取消しを求める点については、理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官秋山壽延 裁判官森田浩美 裁判官小池裕は、転補につき、署名押印できない。裁判長裁判官秋山壽延)

別紙一の1〜4 昭和五九年分〜昭和六二年分課税処分の経緯<省略>

別紙二

仕入金額内訳表

(単位 円)

内訳

年分

昭和59年分

昭和60年分

昭和61年分

①家電製品小売分

シャープエレクトロニクス

販売株式会社

42,868,542

52,951,594

53,656,358

北東京日立家電株式会社

585,260

684,800

1,317,699

43,453,802

53,636,394

54,974,057

②電気工事分(③-①)

4,976,886

4,987,257

11,429,476

③決算書の仕入金額

48,430,688

58,623,651

66,403,533

別紙三

仕入金額内訳表

単位(円)

年度

昭和59年分

昭和60年分

昭和61年分

内訳

①小売分

シャープエレクトロニクス

販売株式会社

44,584,026

52,996,041

55,057,786

シャープ・斡旋品

115,750

971,506

729,079

シャープシステムサービス株式会社

670

35,835

261,490

シャープビジネス株式会社

0

0

2,057,748

北東京日立家電株式会社

585,260

671,345

1,278,532

クラリオンオーディオ販売株式会社

369,414

372,860

409,980

現金仕入(部品)

457,443

541,142

884,002

富士パーツ

0

0

49,587

日立マクセル

0

26,316

0

うどん・塩昆布、はいせき茶

134,200

160,100

274,000

明太子

172,200

390,000

664,000

有限会社関和電材

1,538,240

2,712,850

1,873,288

小計

47,957,203

58,877,995

63,539,492

②電気工事分

有限会社関和電材

470,409

444,491

506,237

高橋電材

5,645

3,850

805

山崎電気

0

0

350

小計

476,054

448,341

507,392

③仕入金額合計

48,433,257

59,326,336

64,046,884

別紙四

各年分の納付すべき税額等の計算

(単位 円)

項目

昭和59年分

昭和60年分

昭和61年分

原告主張の総所得金額

2,441,024

3,984,958

4,983,022

加算

青色専従者給与額

3,320,000

2,731,630

2,399,960

青色申告控除額

100,000

100,000

100,000

減算

事業専従者控除額

450,000

450,000

450,000

総所得金額

5,411,024

6,366,588

7,032,982

所得控除額

1,421,264

1,362,920

1,319,000

課税所得金額

3,989,000

5,003,000

5,713,000

納付すべき税額

624,300

879,200

1,056,700

過少申告加算税額

?

8,000

40,000

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